おはようございます。代表の上野です。
速記の世界ではよく、生で聴いた音がもっとも鮮度が高いと言われています。
これは音楽でもそのように言われておりまして、生演奏が最も贅沢と言われるゆえんです。
レコードからCDに移行したときに、少し耳のいい人なら、レコードに比べて雑音はクリアになったけど、音の温かみが消えたというような感覚を覚えた人がいるのではないでしょうか。
これにはいろいろな話がありますが、1つにCDの規格である16bit、44.1khzが関係しているそうです。また、人の可聴域は20から20000hz程度とされていますが、それ以外の領域も音質に影響しているという話もあります。
この辺の話を深掘りすると沼にはまりますので、少しだけ音楽をかじった程度の私が、ざっくりと語ってしまうことをお許しいただければ幸いです。
なるべくイヤホン、ヘッドホンの選び方の話からそれないように気をつけます。
あ、でもやはりそれると思いますので、選び方の結論だけ先に書いておきます。
【私が思う反訳作業用イヤホン、ヘッドホンの選び方】
・百聞は一見にしかず。とりあえず家電量販店か専門店に行って、実際にたくさん手にして装着して試聴してみる(できればニュース原稿や公開されている講演会の音声を、スマホで同じ場所を再生して聴き比べてみてください)。
触って着けて聴いているうちに、何となくしっくりくるものが見つかると思います。
・やはりお財布との相談もあると思いますので、いいなと思っても手が出せなかったり、複数候補があって迷う場合は、性能の比較や機能を落とすことで購入可能なものを絞るとよいかと思います。
その場合、可聴域については20~20000hz程度のもので十分です。箱の裏か横に記載されています(人の可聴域がこの範囲と言われているのもありますが、後に説明する受注時の音声データの圧縮化=劣化も理由の1つです)。
・イヤホンかヘッドホンかは、好みによって分かれると思います。長時間使用の場合、耳栓のようなカナル型のイヤホンよりかは、ヘッドホンのほうが望ましい場合もあります。個人差もありますが、カナル型は長時間使用していると耳の穴が痛くなる場合があるからです。逆に細すぎると安定性がなく、また、外の音がそこそこ入り込んでしまいます。その場合は、イヤーピースを自分の耳の穴にあった大きさのものに交換するのもよいかと思います。どの角度で装着しても、鼓膜にしっかり音を届ける優れもののイヤーピースもあります。
・ワイヤレスタイプについては、厳密にはセキュリティの面もありますが、毎日長時間使用となると、充電のことを考えて避けたほうがいいと思います。
・作業環境が静かであれば、物理的なノイズキャンセル構造は無視できるので、イヤホンorヘッドホンよりも、長時間使用できるよう自分の耳にフィットする形、質感、ヘッドホンの場合なら重さの確認と、頭の形に合った心地よいもの、という感じで選ぶのがよいかと思います。
※ちなみに装着した瞬間に心地よくなければ、長時間の使用には向いていないと断言できます。
上記の条件を全て満たすものでも、数千円程度で購入できますが、私個人としては可聴域5~35000hzで12,000円くらいのヘッドホンがいいかなとは思います。
装着したときのフィット感や外の音の遮音性、悪い音声のときの違いがやはりあると思っています。可聴域については、上はともかく下は少なくても10hzはあったほうがいいと思います。20hzのものと10hzでは明らかな違いを私は感じました。人の可聴域的には20hzあれば大丈夫なはずですが、10hzくらいになると明らかに違います。別の要素もあるのでしょうか、不思議ですね。
下が10hzくらいのものになってくると、価格も10,000円を切るものが結構あります。
選び方の基準については以上になります。
この先はおまけで、周波数や量子化、データ量の簡易説明が中心です。多少イヤホンやヘッドホンの話も出てきますが、長いので今回の主旨はここまで読んでいただけたら読了ということにしたいと思います。ありがとうございました。
とりあえずCDというものは、ステレオ2チャンネルでサンプリング周波数44.1kHz、量子化16ビット(2バイト)で記録されています。
何のこっちゃですよね。
ざっくり説明すると、
khz=どれくらいの間隔で録音するのか→サンプリングレートのこと
bit=1つの間隔にどれだけのデータを保存するか→ビット深度のこと
って感じです、はい。
つまり、CDの規格であるサンプリングレート44100Hz、ビット深度16bitの場合、1秒間に44100回、音を分割して記録し、かつ44100回の1回あたりに16bitで音を記録します。
サンプリングレートを上げる→音が滑らかに(パラパラ漫画のコマ数みたいなもの?)。
ビット深度を上げる→音の細かさや強弱などの表現力が上がる。
ということです。
大ざっぱな言い方ですが、音質を上げたいなら、「サンプリングレート」か「ビット深度」を、もしくは「両方」を上げればよいということになります。
しかし、当然ですがデータの量が大きくなります。
CDの場合、44.1kHz×2バイト×2チャンネルで毎秒176.4KBのデータ量となります。
これがどのくらいか、分かりやすく1時間に換算すると約635MBです。
CDは1枚あたり700MB記録できますので、約66分の音声を記録することができます。
音楽のCDアルバムは基本的にこの範囲内での収録となります。
パソコンが一般家庭に普及した現在では、44.1khz、16bitより上の設定で録音された音楽データや音声データが多くあります。
しかし、データ量が大きいので、パソコン内部だけの使用で完結している分にはそんなに問題ではありませんが、外に送るときにデータ量が多いと時間がかかります。
そこでMP3やWMAなどの圧縮技術が登場し、同時にデータの伝送速度の技術も向上していきました。
上記の理由によって、手元に届く音声データはだいたいMP3ファイル等に圧縮されているので、何万円もするイヤホンやヘッドホンを選ばなくてもいいと私は思っています(反訳者が請負で自分で録音できないという条件での話になります)。
MP3に圧縮した時点で音は劣化しますから、可聴域の点では、それが広いイヤホンやヘッドホンは必要ないと思います。
仮に反訳者が請負ではなく、直接会議等の現場で録音できる場合、高いkhzとbit数で録音し、反訳時は可聴域の広いヘッドホンを使用するほうがいいと思います。
ちなみにICレコーダー等の録音設定で、近年はリニアPCMというのをよく見かけます。
「リニア」とは「非圧縮」という意味で、「PCM」は 「pulse code modulation」の略です。
音声などのアナログ信号を、デジタル信号に変換する変調方式の1つです。
圧縮しない分、とてもいい音ですが、データ容量も大きく、反訳者の手元に届くころにはほぼほぼ発注側のほうで圧縮処理されています、残念。
ということで、高設定やハイレゾなどに対応した何万円もするようなイヤホン、ヘッドホンは、反訳作業だけを考えると、それほど必要ではないケースが多いと思います。
余談ですが、BOSEの3万円以上のヘッドホンは、物理的なノイズキャンセル構造が圧倒的に違います。
家電量販店などで試着、試聴できますので、もし試すことができましたら、安い製品との圧倒的な違いを感じてみてください。
店内の騒音は一瞬で遠くに去り、特殊な空間へ入り込んだかのような錯覚さえ感じさせてくれます。
耳や頭のフィット感もとてもよく、長時間使用しても疲れにくいであろうことを容易に想像させてくれます。
ちなみに、CDの規格がなぜ44.1kHzなのかについては所説ありますが、人の可聴域が20から20000hzくらいとして、いろいろ理由はありますが、とりあえず再生時に20000hzより少し上の22050Hzくらいまでの音を再現したいということで、標本化定理に従ってその倍の44100hz、イコール44.1khzになったという推測が一般的だそうです。
標本化定理の話もまた沼なので、とりあえずデジタル技術で録音するときは、再生したい周波数の倍の周波数で記録する必要があるということだけお伝えして終わりにしたいと思います。
とりあえずイヤホン、ヘッドホンは数千円のものでも十分ですよ、というお話でした。