2.助成なしの民間企業


―――我々、助成を受けていないところで。

 

K先生:そうですね。受けてないですもんね。

 

―――そうなんですよね。助成を受けているところと同じ土俵でやらなければいけないのは問題があると、過去に言ったことがあるんですよ。

 

K先生:おかしいですよね、それって。

 

―――速記でもそれあったのでね。

 

K先生:そうですか。

 

―――助成を受けているところに落札されたことがあって。ああいうところと同じテーブルに並べられたら、それは金額でかなわないので。

 

K先生:それは無理ですね。

 

―――はい。半分ぐらいの金額で落札されてしまって。それはもうボクシングでいったら、無階級で殴り合いしてるのと一緒なんで、こっちは倒れてしまうからそれはもうちょっとやめてほしいというのは、一回、職員の方が事務所までわざわざ来てくださったことがあったので、それでお話しさせていただいたことがあったんですけど。手話もそうですけど、変わらない条件で。

 

K先生:無理ですね、やっぱり。変わらないですか。

 

―――変わらないです。速記のほうは、それをお伝えしてからは、そういう状況が緩和されたんで、ひょっとしたらお伝えしたことに意味があったのかもしれないですけど、手話のほうは。

 

K先生:なかなか駄目ですよね。

 

―――はい。弊社のほうが後から参入してるんで、あまり発言権がないのかもしれないですけれども。平等な競争とは言い難いので。

 

K先生:ないですよね。そもそもできないですね、平等にはね。

 

―――そうですね、はい。我々としては、その金額で落札して、じゃ、手話通訳者さんの方に幾らでお願いするのかなと。やっぱり速記もそうですけど、社員とか苦労してるのを見ててすごい思うのが、技術を習得するのに物すごいエネルギーが要るんですよね。

 

K先生:そうですね。もう大変。その割にね。

 

―――大事な自分の時間、ほとんど空いてる時間を使って、毎日何年もやってようやく資格取得ができるという世界なのに、それを何かつまみ食いじゃないですけど、安い金額で仕事させてて、全然見合ってないじゃないですか。

 

K先生:ほんとですね。

 

―――それをすると、後継が育たない。後に続く人がいなくなるんで、この代ぐらいで止まってしまうんじゃないかという思いがずっとあって。そこは、今、もう声を大にしてでも言い続けないと駄目やなとはずっと思っていて、そう思っているところで先生にお会いして、協力していただけてありがたいと思っています。

 弊社も手話に関しては、当然、落札できない、できるとかあるんですけど、それをできるだけちゃんとした金額で落札して、少しずつですが、ちゃんと手話通訳者の方に還元するというのをさせていただいている。本当に先生にはありがたいなと。

 

K先生:いやいや、とんでもない。

 

―――そこから始まったんで、うちの会社は。

 

K先生:やっぱりボランティアという考え方が残っているところも多いんでしょうね。半分は福祉の仕事やから、ボランティアでもいいんじゃないかと。だから、1時間行って1,000円というところもあります。

 

―――交通費は別ですか。

 

K先生:交通費はもらえます。移動費もつきます。1時間500円頂きます。どこへ行くのも1時間かかりますからね。だから、実質1時間1,000円頂いて、交通費等で2,000円になるというかね。それは頂けるんですけどね。

 

―――それは少ないですね、やっぱり。

 

K先生:もうけるのが目的ではないという考えの方が多いです。なかなか仕事としては成り立たない。依頼されるのも、手話通訳者がたくさんいたら分配されるから、自分のところへは月2回しか依頼来ないとか、そんな人もいるんです。1年に1回とか。だから、とても給料で生活ができないという状態です。

 

 (続きます)

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