4.手話を始めるきっかけ


―――弊社としては、速記も手話も情報保障として。

 

K先生:そうですよね。それはもう同じですよ。

 

―――いろいろ取って、もう一元化していきたいなという思いがあります。

 

K先生:そうですね。それができたら一番いいですもんね。

 

―――そうですね。議事録も作るし、字幕もやるし。もっと言えば、点字とかというところまで行きたいなと思ってるんですけどね。

 

K先生:そうそう。頼むほうもいいですよね。

 

―――そうなんですよ。

 

K先生:やっぱりあっち頼んでこっち頼んでするより、1つ、そこへ頼めば全部できるというのは便利な面もあると思いますよ。

 

―――事務もやっぱり煩雑さが大分違うというのと、入札になると、100万超えてくると、ちゃんと公募に出したりとか、公募に出すまでに役所の中で手続がいっぱいあるんで、それが1個も2個も3個もとなるよりかは、もう抱き合わせでするというので、そういう広告の出し方を4月からちょっとしていくんですけれども、それもほんとに先生がいてくれたからできることで。

 一応、民間企業では、そういう会社、速記と手話と字幕というのを全部セットでやるというところは、1つも見てる限りないんで。

 

K先生:ないですよね。

 

―――はい。一応、今のところ、日本でうちだけかなと思ってるんで。これができたら。

 

K先生:物すごいいいですよね。

 

―――そうですね、はい。そういう民間企業が増えていってほしいなと思います。

 

―――Aさんは、もともと手話を始められた理由というのは、何かあるんですか。

 

K先生:いや、ないんです。3人子供いるんですけど、子育てが一段落、一番ちょっと大きくて、何かしようかなというだけです。ほかにきっかけは何にもなかったです。そのときに住んでいるところで募集があったんですね。そのとき1回目は、何かあの頃、手話を勉強したい人がたくさんおられて、満員で抽せんになって、落ちたんです、1回目。

 

―――そうなんですね。

 

K先生:うん。で、あ、あかんかったわと思って。来年受けたら、抽せんに通って、勉強し始めたんです。そこからですから、何にもないんです。

 

―――あのドラマの頃とは。

 

K先生:違います。ドラマ、何の関係もなかった。昔。

 

―――手話のテーマのドラマが何かあったんですか。

 

K先生:「星の金貨」。

 

―――あれで急に増えたのがあって。

 

K先生:その前の「愛していると言ってくれ」って、あれその前。豊川悦司さん、常盤貴子さんと前やってましたね。

 

―――そう。豊川悦司さんが聞こえない人の役で。

 

K先生:そう。

 

―――ありましたね。懐かしい。

 

K先生:「オレンジデイズ」とかいうのがあったらしいねんけど、見てないんで。それが一番、古いけど新しい。

 

―――学生時代にたしか見た気がします。学生の話とかでしたね。

 

K先生:そうです。何からしかったです。見てないですけど。

 

―――そのとき、ホームページとかで手話をちょっと紹介したりとかもしてましたね、そのドラマのページで。

 

K先生:こないだ笑福亭鶴瓶さんがお父さんの役で。見てないけど、やってたらしいですね。

 

―――そうそう。NHKのドラマ(※)で、お父さんが笑福亭鶴瓶さんで、ろう者のお父さんで。

 

K先生:ドラマがあって、何かぱっとたくさん来てくれたらうれしいんですけど、なかなか波があって、ドラマが終わったらそれで終わりとかね。

 

―――なかなかやっぱり続けるのがね。

 

K先生:そうですね。

 

―――Aさんが続けてこられたのは、現場に出られて、やっぱり。

 

K先生:私はやっぱりサークルが楽しい。私、珍しいと思います。もう長年サークル続けてる人いないですね、手話通訳者でも。してはる方もいらっしゃいますけども、私ぐらいの年齢の人は、ほとんどもうサークルは行ってないです。

 

―――それは途中でやめてしまうと。

 

K先生:もう何か行かなくなった。やめてるところまで行ってないけど、あるけどもほとんど通ってない。

 

―――それはもう今行かれてるサークルが面白いというか、ろうの方たちもいっぱいいつも来るし。

 

K先生:そう。やっぱり先輩、教えてくださった若い人なんですけどね。その方がやっぱりいい人で、出会いやと思います。その人と会ってからいろいろ教えていただいて、楽しかったんです。それで、ずっとサークル今も行ってるいうのが、珍しいと思います。

 

―――楽しかったというのは、手話自体もそうだと思いますし、その集まってる方とのやり取りとか。

 

K先生:そうです。お話しできることがすっごく楽しくてね。

 

―――そうですよね。

 

K先生:それで、やっぱりそのときにいた先輩で、あの人もみんなずうっと一緒にやってきた仲でね。最初はサークルができる前なんて、おたくへ行ってたんですよ。どこかの人の家に行って、ちょっと。そんな個人的に家に行くのは申し訳ないからいうことでサークルつくって、公共の場を借りてしたんですけどね。その先輩が私に、「将来、絶対手話通訳になってね」と言われたの。それが物すごくうれしくてね。「待ってるから」と言われて。「待ってるから」の一言でね。若かったのもありますよ、もちろんね。もう30年ぐらい前ね。40なる前ぐらいかな。まだまだ始めたばっかりやったけど。それ言われたのがすごくうれしくて、それがずっと心に残ってるんです。

 

―――そうなんですね。

 

K先生:昔はFAXも何もない時代ですのでね、会社に休むから電話かけてと言われて、代わりにかけて、怒られたりね、会社に。

 

―――怒られるんですか。

 

K先生:また休むんかとか、怒るんよ、会社の人。横におって、怒ってるでって言うんですけどね。何かちょっとサボり癖のある人とかいてるんですよ。やっぱりきっと会社行っても、ろうの人もいない、手話のできる人もいない、孤独が嫌になってね。よく怒られましたよ、代わりに電話してはね。もう今はそんなこと、自分でFAXとかする方法もありますけどね。

 

―――寄り添うということですよね。

 

K先生:そうですね。聞こえない人と一緒にずっと来たという感じはするな。ずっと同じように年取ってきましたからね。

 

 (※)NHKのドラマ・・・「しずかちゃんとパパ」

 

(続きます)

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