5.手話通訳の習得の難しさ


―――その寄り添うというところで、中途難聴者の方が、もう困ってるから何とか覚えたいという人もやっぱり見てきてはったんですか、たくさん。

 

K先生:うん。もうなかなか続かないです。難聴者は、なかなか手話を習得できないんですよね。やっぱり聞こえるでしょう、ちょっとは。昨日も会議で、難聴者と聞こえる人とが一緒にいる会議で、それの会議の通訳行ったんですけどね。難聴者の人は、やっぱりちょっと聞こえてしゃべれるでしょう。

 

―――それに頼ってしまうというか。

 

K先生:そうなんです。なかなか手話通訳ができない。大抵、途中でいつも挫折してしまうんです、難聴の人は。でも、上手にされる方もいらっしゃいます。

 

―――頑張っている人もいるという。

 

K先生:そうです。

 

―――すごい聡明な方で、論文発表じゃないけど、そういうのもホームページに載せてて、行政の会議でも名前出して、すごい尊敬する方です。

 

K先生:そうやね。尊敬しますよね、あの方。

 

―――サークルには、手話通訳者になりたい方は一定数来られていて、後継者の心配はそれほどないという状況なのでしょうか。

 

K先生:なりたい人はたくさんいると思います。でも、試験を落ち続けて、途中で諦める人のほうが多いんですよ。

 

―――なれる人が少ないと。

 

―――Sさんも頑張ってますもんね。

 

―――何回も落ちてると、大概みんな嫌になりますもんね。

 

K先生:嫌になりますもん、やっぱりみんな。落ち込んできますもんね。Bさんも受け続けてたからね、試験を。

 

―――そうなんですね。手話通訳者が足りないと言ってるのに、試験はね。

 

K先生:手話通訳者、高齢者が物すごい多いから、私らの世代が辞めていったらね。

 

―――ほんとにそうですよね。ほかの情報保障の世界でも、Aさんの世代がコアメンバーというか。

 

K先生:なってるんですよね。一緒やね。

 

―――やっぱり力も、ベテランの方はすごいですね。その人たちが辞めはったらどうなるか。

 

K先生:辞めたらどうなるんでしょうね。でも、そんなんいつまでもできないですから、辞めたら辞めたでどうにかなると思いますよ。もう試験も考えて、やっていかないとしょうがないですからね。

 

(続きます)

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